「映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」感想


 大人から子供まで、日本中に大ブームを巻き起こし、昨年記録的ヒットとなった妖怪ウォッチの劇場版、第2弾。

 タイトルどおり、妖怪の王・エンマ大王を巡る5つの物語からなる本作。最近ではプリキュアが3本立てになったり、逆に仮面ライダーMOVIE大戦がパート制を廃止して一本になったりと、やたら編成を変えてくる傾向があるように思われるが、これもマンネリ化を防ぐための対策の一つなのだろうか。
 どういうきっかけかは存じ上げないが、こうも見事にかぶると、何かしらのシンクロニシティ的なものを感じざるを得ない。…いやまあ、ウソなんだけど(エー)、公開二作目にしてこのようなテコ入れをぶっこんでくるとは、レベルファイブの力の入れようが伺える。

 とはいえ、その思惑が功を奏したかと問われれば、正直微妙なところで、メインキャラそれぞれのショートストーリーを展開する必然性はともかくとして、その内容、掘り下げが非常に浅く、全体的に薄っぺらい印象を受けてしまった。

 肝心の各パートも、ゲスト声優を除けばテレビシリーズとさほど違いはなく、わざわざ映画館で観るほどのスペシャル観は皆無。加えて、そのどれもが、基本泣かせオチという安直な具合で、3本目のコマさんのエピ前後から「そういうのもういいよ」と思ってしまった。
 実際、同じ回で鑑賞していた子供連れの親御さんたちも、その辺りから寝落ちしたり、スマホを取り出したりする姿が多々見受けられるようになり(もちろん注意はした)、飽きてぐずり出す、あるいはそこらへんを走り回るチビッコ達もチラホラ(もちろん説教した)。中には、上映前に観たクレヨンしんちゃんの新作予告に触発されたのか、スクリーンに向かって尻を出して踊り出すヤツまでいる始末で(もちろん親につまみ出された)、画面に釘付けにし、集中力を持続させるような作りとは、お世辞にも言い難かった。

 お約束のギャグも空回りしまくりな上、上記したシリアス要素との相性も悪く、バランス面でもバッド。期待されたジバニャンUSAピョンケータくんイナホの初遭遇も、終始これといったケミストリーがないままで、人間と妖怪との絆をテーマにしながら、実質動いていたのはテレビシリーズのメインキャラと、前作にも登場したフユニャンのみ、各パートのオリジナルキャラクター(エミちゃん含む)はその場限りの使い捨てでは、あまりに勿体ない。

 あくまで複雑さを避け、老若男女に分かりやすい物語を目指したものと察するが、ちょっと塩加減を間違えてしまった観。もっと言うなら、冒頭のスナックワールドのCMは、場違いな空気でテンションを削ぎかねないので、例えば夏のライダー映画よろしく、どこかのエピソードにさりげなく盛り込む等の工夫がほしかったところ。

 まあしかし、これまで散々パロディのネタにしていたスター・ウォーズの新作と、本作の公開時期がまさかもうも見事にダダ被りするとは、東宝さん日野さんも予想だにしていなかっただろう(笑)。きっと両社内でも、先にどっちを観に行くかで踏み絵のごとき無言のプレッシャーがあったに違いない。

 既に来年の第3弾も決定しているそうだが、一度原点に立ち返り、ネームバリュー以外でも客が呼べるクオリティを取り戻していただきたい。


 ☆☆☆★★−−

 あと、「世にも奇妙な〜」ネタも引っ張りすぎ。途中からタモリさん繋がりで色々変えればよかったものを…。もんげぇ、星3つマイナスマイナスズラ〜。