「映画Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!」感想


 春秋恒例のプリキュア映画第19作目にして、シリーズ初の3本立て。

 まずは一本目、キュアフローラといたずらかがみ」

 イメージ的には、ピクサー映画の冒頭に流れる短編のような感じ。セリフはなく、デフォルメしたフローラさんと鏡に潜むいたずら好きのおばけとのやりとりを、コミカルな動きや表情で見せていく内容で、ただただ単純に可愛く、楽しい出来。

 続いて2本目、「パンプキン王国のたからもの」

 本作のメインとなるお話。元々テレビシリーズで語られるべきテーマについてきっちり語られているためか、良くも悪くもいつもどおりの内容。とはいえ、人の夢を利用する悪の存在や、利益を優先して労働者を使い捨てる劣悪な経営形態、さらに家族愛と民主制の在り方といった社会情勢をさりげなく盛り込んだ、大人の胸にも刺さる物語に仕上げてある。

 若干、プリンセスコンテストが恐ろしくあっさりしていた点、ざーさん演じるパンプルル姫プリキュアとの絡みが薄目だった点等、多少不満はあるものの、概ね好印象。

 最後は3本目、プリキュアとレフィのワンダーナイト!」

 テレビシリーズのEDダンスそのままのフルCGで、個人的には3本の中で一番見応えがあった。プリキュアレフィの生き生きとした可愛らしい表情はもちろん、アクション映画さながらに激しく動き回る戦闘シーンも激熱で、セルルックとはまた一味違った、日本のCGアニメの新たな可能性を目撃した気分。


 一本一本の完成度は非常に高く、上映時間によってはどれも十分に金が取れる内容。全75分にも関わらず、色々と観られた満腹感は尺以上で、その意味では今回の試みは成功したと言える。
 しかしその分、チビッコ達にはボリュームがありすぎて、観ていて疲れるのではないかという懸念も浮かんでしまう。事実、小生が観に行った回では、隣に座っていた女児達が途中からぐずり出し、ついにはスクリーンに背を向け、後ろの席の母親の顔ばかりを見上げていた。
 思うに、CGと通常アニメーションの違いがあるとはいえ、同じメインキャラクターが別々のストーリーで登場しても、新鮮さというべきか、異なる内容と認識しにくいのではないだろうか。例えば、一本目の「いたずらかがみ」を、フローラさん達ではなく妖精やミス・シャルームをメインにすれば、メリハリができて、飽きずに鑑賞できたのでは。

 それに伴って言うなら、各ストーリーの間に寸劇を入れ、そこで上映マナー講座やラクルライトの使用上の注意をチビッコ達に伝えてほしかったところ。それこそ、ミス・シャルームロイヤルフェアリー2匹に「ハローエブリワ〜ン♪プリンセスたる者、上映中のケータイ・スマホはノンノンよ〜ん♪それからおしゃべりしたり、劇場内を走り回ったりも、もちろんバッドよ〜ん♪約束できるかしら〜ん?」といった具合に。その辺り、もう少し配慮がほしかったかなという気もしなくもない。

 とはいうものの、女児アニメとしての完全新生を狙う本作で、こういった方式に挑戦した意義が大きく、今後も続くであろうプリキュアシリーズにとって、言葉は悪いが良い実験になったと察する。決してつまらないわけではなく、むしろ何だかんだでよく出来ているので、観ようかどうしようか悩み中の大友の諸兄姉は、安心して鑑賞されたし。


 それにしても、来年のプリキュアオールスターズ」どうするんだ、アレ…。


 ☆☆☆★★++

 正直、2本立てぐらいの方がまとまってたかも(エー)、星3つプラスプラス!!