「ラブライブ!The School Idol Movie」感想


 電撃G's magazine×サンライズ×ランティスの合同プロジェクトにして、日本のみならず世界中にラブライバーと呼ばれる熱狂的なファンを持つ人気テレビアニメシリーズの後日談にして、完結編。3年生の卒業を期に、解散を決めたμ'sのメンバー9人。そこに届いた一本のメールによって、事態は思いもよらぬ方向へと進んでいく。

 良く悪くも社会現象を巻き起こし、アイドルアニメとして一時代を築いたラブライブ!の結末としては、実にキレイな落とし方。全国の狂信的ラブライバーがこれをどう判断するかは与り知らないし知っちゃこっちゃないが、有終の美と評していい出来だったと思われる。

 アメリカのテレビ局に呼ばれたμ’sメンバーが、ちょっとした伏線を張りつつ、ニューヨークの街をPVさながらに観光して周る前半と、帰国後、意外な状況の変化に戸惑いながら、スクールアイドルとしての最後の決断、そして想像を越えたフィナーレへと突き進んでいく後半。展開を二つに分ける事で、それぞれのパートで消化すべき点、観せるべきポイントを明確にし、満足度の高い映像へと仕上げているのは、非常に高評価。
 日常の枠からはみ出さず、しかし劇場版ならではのスペシャル感も持たせてあるという、実に贅沢で欲張りな作りだが、それをさり気なく、何でもない事のようにさらっと構成してみせる手腕には、ただただ脱帽。

 また、メインキャラクター9人全員、誰一人空気にならず、まんべんなく見せ場なり、ここぞとばかりに主役を張る場面が用意されている点も、さすがの一言。海未ちゃんことりちゃんのババ抜き対決や、花陽ちゃんのご飯愛、のんたん真姫ちゃん攻め(オイ)等、定番アクションはもちろんとしても、これだけの員数、まともに動かすだけでも一苦労と察するが、これもメンバーそれぞれの特徴、個性、持ち味を理解しているからこそできる仕事に、違いあるまい。
 長年、日本アニメ業界のトップを走り続けるサンライズの成せる業か、はたまた本作に関わってきた監督およびスタッフの愛によるものかはさておき、アイドルアニメとはこうあるべきと知らしめるような、作品の魅せ方を心得ている方の仕事と断じたい。
 分かってんのか、!!(オイヤメロ)

 最後は若干、ノリと勢いで一気に駆け抜けたような印象も受けたものの、一つの物語に潔くピリオドを打ちつつ、後に続く者への道筋までもきっちり残したという意味でも、美しい結末。あまり詳しくは書けないが、結局あのバーロー声のシンガーは何だったのか、とか、時間がないと言いつつ、JCが街全体をほぼ貸切状態にするなんて事が可能なのか?とか、そもそも幼女の膂力を考慮すると、気持ちだけで跳躍力はそんなに伸びないよね、とか、色々ゲスなツッコミを呈してしまいたくなるが、この際、あまり野暮な事は言うめぇ。

 学年別の持ち歌を含む新曲と、度肝抜くクライマックスの演出には鳥肌必至。これが、かつて学校存続のために立ち上がり、観客0の初ライブ等の苦難を乗り越え、ついに2次元の壁をも超越した正真正銘本物のアイドルに成長した9人の終着点と思うと、目頭に熱いものがこみ上げると同時に、この瞬間もまた彼女達と、彼女達によって導かれた者達にとって次のステージへと飛ぶためのスタートラインなのだなと、妙な感慨にふけってしまった。

 確かに絶賛するほどではないし、例によって一見さんには厳しいかもしれないが、シリーズのファンなら間違いのない内容。なお鑑賞中、歌パートでサイリウムを振るのは絶対やめてください。マジで上映中止になりかねないので。
(小生の隣に座ってたヤツのポケットに、それらしきモノが忍ばせてあった時は、さすがに驚いた。上映中、万が一にも取り出して踊り出そうものなら、腕の骨へし折ってつまみ出そうと本気で思っていたが、そこまでバカじゃなくて心から安堵した。何なら「アナ雪」よろしく、ヲタ芸OKの上映会とか、やったらいいのに)


 ☆☆☆★★+
 ところで、「サンシャイン」のアニメ化まだー?星3つプラスにゃー!!