「這いよれ!ニャル子さんF」感想
逢空万太のライトノベルを原作とした、2012年、及び2013年放送のテレビアニメシリーズの劇場版。
いろんな意味で好評と物議を博した人気シリーズの劇場版だが、これがまさかの1時間尺。しかも、前半は1期と2期の総集編、新作エピは残り約30分でフルプライス1800円という、普通の映画なら日本中のシアターから大ブーイングが巻き起こるに違いない。
しかし、そこはニャル子さんのキャラクターというか、ファンも分かっているというか、双方ともに楽しめる、ツボを心得た内容ではあったように思われる。無論、料金に比例するとはお世辞にも言い難いが、一種のお祭りムービーという事で、大目に見るとしよう。
とはいうものの、上記したとおり前半、これまでのテレビシリーズのハイライトを、ニャル子さんと真尋さんの夫婦漫才(違)付きで見せてくれるのは割と高評価で、それによってこれまでの経緯とともに、本作の空気、あるいはどういうテンションで付き合ったらいいかを理解できる、ある意味一見さんにも優しい仕様になっている。
新作の方も、例によって東映とバンダイからクレーム入らないかってくらい、ギリギリのパロディネタ満載ながら、ニャル子さんの身に起こる、ある危機的状況を使って、これまでの集大成ともいうべきエピソードを、短い尺の間に見事まとめ上げていてグッド。
持ってる剣が某花道オンステージの人のヤツそのものだったり、ニセモノが黄色いマフラー巻いてたり(このネタ、分かる人って何人ぐらいいるんだ?)、かなりふざけているようで、いや実際ふざけまくっていながら、それらを見応えのあるものにグッと引き締める演出の妙には、掛値なしに「うまい!」と思わされた。同日に鑑賞した某短編アニメ作品の新人監督さん達は、是非とも食わず嫌いせずに、先人のこういった技術をどんどん吸収し、盗んでいただきたい。
正直、ニャル子さん演じるアスミスの徹頭徹尾のハイテンションっぷりと、どこからツッコんだらいいのか分からない、むしろツッコミが追いつかないほどのネタの応酬に、SAN値が加速度的に急降下する事ウケアイだが、その辺も考慮しての、この尺なんだろうと、勝手に察する。ぶっちゃけ、これを1時間以上観せられるのは、精神衛生上よろしくない(笑)。
最終章を思わせる「F」を銘打ちながら、何やら続きがありそうな終わり方だったが、今後もOVAかイベント上映のような形で制作されるのだろうか。それはそれで歓迎すべき事だが、できれば本作と挿絵作家さんが同じ「かのこん」も、そろそろアニメの新シリーズを…。その前に、原作の続刊どうなった?ずっと待ってるんだけど…。
さておき、大絶賛こそしないものの、意外なほどなかなかよく出来た一本。ファンはもちろん、始めての人は本作から入って、一期と2期を観直すのも充分にアリ。とりあえず、今回はこんな感じで。
☆☆☆★★+
名状したがい星3つプラス!!のようなもの。
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