「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」感想


 レベルファイブ制作のRPGを原作にしたテレビアニメシリーズの劇場版。歴史の改竄によって消された妖怪ウォッチを取り戻すため、60年前の世界にタイムスリップ。その誕生の秘密に迫る。

 日本中で子供はもとより、大人をも巻き込んでの大ブームとなっている妖怪ウォッチ、待望のスクリーンデビューとなる本作。既に前売り券の段階で、東宝創立82年で最大の売り上げを記録、各上映館は混乱を避けるためか、公開1週間前から座席予約を開始するという異例の対応に踏み切った事からも、どれだけの人気作品かが伺える。
 実際、小生が観た館でも、初日分の上映スケジュールはほぼ満席、452人収容できる一番大きいシアターが、上から下まで老若男女でビッシリという状態。こんなに人が集まった作品は、小生の知る限り某ワンピース機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-」、館の規模を含めるともののけ姫以来かもしれない。
 東宝も、仮面ライダープリキュアに対抗する、いいドル箱を見つけたもんである(オイ)。

 さておき。内容としては、あくまでテレビシリーズの番外編+バトル要素、といった感じ。ドツキ漫才のようなやりとりと「対象年齢のチビッコには分からんだろ、ソレ」という昭和テイスト溢れるパロディはそのままに、シンプルながら時代を越えた熱く、そして泣ける友情劇に仕上がっている。
 その分、ぶっちゃけ特筆するべき点もないのだが、イナズマイレブンダンボール戦機で培ったノウハウは伊達ではなく、最後まで適度な笑いと緊張を保つ、飽きさせない工夫がなされているのは、さすがの一言。

 少々ネタバレになるが、不満点があるとするなら、本作のラスボスであるウバウネが人間を憎む理由を知りつつ、結局力技でぶっ倒してしまった点。まあ、あそこはともだち妖怪と心を一つに〜というのが展開的にも、本作のテーマ的にもベターなのは分かるのだが、そこはやはり、ぶっ倒した後でもいいので、いつものように妖怪メダルを受け取ってほしかったところ。
 原作ゲームの内容に順じていないからダメなんだろうか。あるいは、来年公開予定の第2弾にも敵キャラとして登場するのだろうか。う〜む…。

 それから個人的には、作中で主人公ケータくんの祖父・ケイゾウ憧れのヒーロー「ガッツ仮面」がものすごくツボにはまった。いかにもテレビ放映黎明期然とした風貌もさる事ながら、自ら「♪テッテレ〜」とファンファーレを入れながらの微妙な決めポーズ。ニコニコ動画でやってたら、腹筋がおかしくなるまで笑い転げてたに違いない(鬼畜)。

 まあ、とにかく、だ。九州繋がりなのか謎の登場、また謎の存在感を発揮する某ゆるキャラ(ちなみにふなっしーではありません。悪しからず)等、多少の意外性もなくはないものの、だいたい思ったとおりのストーリーで、だいたい思ったとおりの展開。逆に言えば、非常に安定した、お子様にも安心安全な作りとも。
 超大傑作!さあ、今すぐ映画館へ!!というほどはないにせよ、シリーズのファンなら観て損はない内容なので、興味のある人はどうぞ。ただし、しばらくは混雑が予想されるので、お急ぎでない方は少しほとぼりが冷めてから映画館に足を運んだ方がいいかも。

 じゃ、今回はそんな感じで。

 ☆☆☆★★+

 つーか爺ちゃん、なんでケータくんのパパには妖怪の事教えなかったの?もんげー、星3つプラスだズラ!!