「バツイチは恋のはじまり」感想


 「ハートブレイカー」パスカル・ショメイユ監督イングロリアス・バスターズダイアン・クルーガー主演。初婚は必ず失敗するというジンクスを持つ家系の女が、本命の彼氏と結婚するため、行きずりの男との偽装結婚を企てるラブコメディ。

 かの名作最強のふたりの制作陣が多数参加している事でも話題(なのか?)の本作。主人公の家族が、彼氏にフラれて情緒不安定な妹の上司を慰める目的で語るというスタイルは悪くなく、成り行きで世界中を旅して周り、偽装結婚の相手と様々な経験を共有していく過程もなかなかグッド。
 フランス映画らしく、全編シニカルなジョーク満載で、ヘタなギャグ映画より笑えたという意味では、非常に面白かった。

 しかし、内容的にどうも納得行かないというか、要は2時間弱使って、超身勝手で超ワガママな女が、何の罪も落ち度もない善良な薄らハゲの男性を散々弄んだ挙句、なんかイイハナシダナー観出して終わったようにしか思えず、ぶっちゃけ感情移入はまったく出来なかった。
 ネタバレになるので詳しくは書けないが、本命の彼氏にしても、同じく何が悪いのか、どこに不満があるのかさっぱり理解できず、ただただ気の毒なばかり。なぜ作中、ダイアン・クルーガー演じる主人公が一度もぶん殴られなかったのか、不思議なぐらいだった。
 あんな女が親戚にいたら、その場でSTO食らわして、男二人に土下座謝罪させるに違いない。

 小生が男だから、そう思うのかもしれないが、女性の目から観てこれは一体どう映るのだろうか。そもそも、付き合って10年間まるで変化がない、刺激と驚きがほしいなら、自分からセクシーランジェリーでも着て迫ればいいのに。レストランにしても、友達があの店美味しいって行ってたから、今度行ってみましょうよぐらい、結婚を前提にしている相手なら言えないわけはあるまい。知らないうちに、彼氏に依存しすぎていたのでは?
 一族の女全員そんな感じだから、みんな初婚で失敗するんじゃないのかと思ってしまうのは、小生がヒネクレ者だからか?

 もう一つ言うなら、このバツイチは恋のはじまり」というタイトル。実際にはバツイチになる前に恋をしているわけだから、微妙にポイントがずれている気がするのだが。素人考えながら、それならいっそ「ステキな偽装結婚とでもした方がよかったのでは?うーん、これはこの邦題をつけた人にもSTOかな(エー)。

 ダイアン・クルーガーのハジけっぷりとエロい尻、そしてダニー・ブーンの身体を張った芝居は良いものの、意外と人を選ぶかも。とりあえず、今回はそんな感じで。


 ☆☆☆★★

 つーか、彼氏に話して一回離婚してまた結婚すれば良かったんじゃね?星3つ!!