「300 スリーハンドレット 帝国の進撃」感想


 ザック・スナイダー製作・脚本「賢く生きる恋のレシピ」ノーム・ムロ監督。2007年公開「300(スリーハンドレット)」の続編にして、その前後に行われたアルテミシオンの海戦、及びサラミスの海戦を描くファンタジー・アクション

 ちなみに、前作で監督を務めたザック・スナイダーは、「マン・オブ・スティール」とその続編の撮影のため、泣く泣く辞退したとの事。

 さておき。その衝撃的且つ斬新なビジュアルで、世界中の度肝を抜いた、「300」の前後日談。小生も大好きで、DVDまで購入してしまった作品(もっとも、人に貸したっきり未だに返って来ていないが…)だけに、期待感より「やめときゃいいのに」「何で手を出した?」観の方が圧倒的に前に立ち、正直半ば怖いもの観たさのような面持ちで会場に足を運んだわけだが、結論を言うと、想像していたほど悪い出来ではなかった。
 もちろん、オリジナルに勝るとも劣らない大傑作!とは言わないまでも、むしろこれだけのプレッシャーと、前作で主役を演じたジェラルド・バトラー不在(アーカイブでの出演はアリ)という悪条件の中、よくこれだけのモノを作れたなと、個人的には思った。

 筋肉ムキムキのマッシヴな兄貴達が、迫り来るペルシア軍に力を合わせて立ち向かうという基本ストーリーはそのまま。さらに今回は、陸地だけでなく船を使った海上での戦闘も加わり、より戦術性に富んだ、熱い攻防が繰り広げられる。
 また、サリヴァン・ステイプルトン演じる主人公テミストクレス属するアテナイをはじめとする、ギリシア各国の思惑、特にレオニダス属するスパルタとの相関も面白く、前作の戦いの裏で何があったかを垣間見せ、物語に深みを与える事に成功している。

 シリーズ初の女性戦士(レナ・ヘディ演じるゴルゴ王妃は別にして)であり、今作最強の敵でもあるエヴァ・グリーン演じるアルテミシアの、男もドン引きするほどの残虐性と美貌もさる事ながら、ギリシアを憎むに至った悲惨な過去も、屈強な野郎ばかりの世界のいいアクセントとなっていてグッド。
 ぶっちゃけ、テミストクレスを懐柔するのに、ファイナルフュージョンしながら罵倒し合うのは、一体どこのアリスソフトですか?とも思ったが(笑)、使える武器は全て使うという、彼女の戦士としての覚悟と技量を示すシーンと、言えなくもない。

 これだけ豪快な海上戦を撮りながら、実は本物の水が使われているシーンはほんの2、3カットというから、撮影技術の進歩には驚かされる。繰り返すが、前作と同等かそれ以上のモノを期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、いろいろ割り切ってしまえば、案外楽しめる内容のはず。

 いかにも続きがありますよ的な終わり方だっただけに、おそらくロドリゴ・サントロ演じるクセルクセス(念のため伏字)が殺されるまでシリーズ化するつもりなのだろうが、果たして続編はいつになるやら…。ウィキを読む限り、次はプラタイアの戦いミュカレの戦いを前後編でやるのか、あるいはテミストクレスが大変な事になるこのあとの一部始終をやるのかは存じ上げないが、前作と本作を越えるようなアイデアをふんだんに盛り込んだ、見応えのある作品に仕上げてくれる事を、切に希望する。


 ☆☆☆★★++

 ペルシア戦争史に興味を持つきっかけにいいかも。星3つプラスプラス!!

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