「エージェント:ライアン」感想


 マイティ・ソーケネス・ブラナー監督(兼出演)、スター・トレッククリス・パイン主演トム・クランシー原作のジャック・ライアンシリーズ5度目の映画化にして、ジャックが経済アナリストからCIAエージェントに転進するきっかけとなった事件を描く、初のオリジナルストーリー。

 いかにもハリウッド定番の、よくあるごく一般的なエージェントアクションもの、といった印象。弱点らしい弱点もないが、クリス・パインのイケメンぶりと、キーラ・ナイトレイのいい女っぷりと、ケヴィン・コスナーの胡散臭さぶり以外に、取り立てて特筆するような事も、大絶賛する点もなし。

 確かに、世界経済に精通しつつ、冷静な分析力と洞察力、海兵隊仕込みの戦闘能力を備えたジャックのキャラクターはなかなか興味深く、特に後半、わずかな情報からテロリストの正体とその標的を推測していく過程はそれなりに見応えはあったものの、他に比べて飛び抜けているようにも思えず。あくまで、この普通人然としながら、実はとんでもない男なんだぜ的な部分がウリなのかもしれないが、正直、このまま本作がシリーズ化されたとして、ブルジュ・ハリーファをよじ登っちゃう某IMFチビッ子エージェントや、ドライマティーニと美女に目がない某MI6のイギリス人スパイと勝負できるのか、かなり微妙なところではないか察する。

 池上彰さんによる、世界情勢を踏まえての字幕監修も、どの程度効果があったのか甚だ疑問。池上さんによると、ハリウッド映画を観るとその時代のアメリカがどこと戦っているのかが分かるそうだが、石油も含めたエネルギー問題が地球規模で叫ばれる昨今、冷戦から何十年経っても、やはりアメリカにとってロシア(ソ連)は目の上のたんこぶなんだな、そりゃシェールガスごり押しするわと再確認。本作全体の感想をざっくり述べるなら、こんな感じ。

 丸っきりつまらなくはなく、観ていて退屈するような出来でこそないものの、ぶっちゃけそれだけ。世界中のトム・クランシーファンには申し訳ないが、硬派な男の世界には程遠い、典型的なデートムービー。もしかしたらビギンズものという事もあり、また今後のシリーズ展開を見据え、より広い客層の獲得するため、あえてライトな味つけにしたのかもしれないが、おそらく何の効果も得られてないよと、いらん老婆心を呈しておく。


 しかし前々から思っていたが、アメリカ人、特に軍人はどうしてああもアメフトと猥談が好きなんだろうか。いや、日本人も猥談は好きだけど、やれどこのチームは最高だ世界一だの、やれどこどこのヘボチームなんざお嬢様学校の生徒にだって勝てねぇぜヒャッハー!だのと、必ずそんな話しをしているような気がする。日本のオヤジが、野球や相撲や競馬やパチンコの話しばかりするのと同じ感覚なんだろうか。これがイタリアやブラジルだとサッカーになるのか?


 とまあ、今回も感想だか何だか分からん文章になってしまったが、とりあえずこの辺で。

 ☆☆☆★★

 ところで、ケネス・ブラナーが医師をボコボコにするシーン、あれ本当に必要だったか?星3つ!!