「劇場版 TIGER & BUNNY-The Rising-」感想


 2011年の放送以来、絶大な人気を誇るテレビアニメ「TIGER&BUNNY」の劇場版第2弾。

 前作の「The Beginning」が、テレビシリーズの1、2話を再構成した内容だったので、てっきり映画は映画で別のストーリー展開になるのかと思いきや、簡単な総集編とともにいきなり最終回まですっ飛ばした上での後日談だった。

 能力減退を理由にヒーローを引退したワイルド・タイガー=鏑木・T・虎徹と、新しいパートナーとともに1部リーグに復帰したバーナビー・ブルックスJr(バニー)を中心にしつつ、他のヒーロー達とその周囲の人々それぞれの内面にスポットを当て、ただのアクションヒーローものに留まらない、勧善懲悪以上の物語を見せてくれた点は超高評価。

 特に中盤、意外な形で注目を集める事になるファイヤーエンブレム=ネイサン・シーモアのポジショニングは抜群で、ヒーローの中でも一際メンタル的に強い立場にある彼の内に眠る弱さと苦悩を明らかにする事で、結果的に仲間達の葛藤や悩み、あるいは鬱積した感情をうまく掘り下げ、ワンランク上の人間ドラマへと昇華させている。

 常々、オカマキャラは使い方ひとつで作品の価値を左右すると論じているが、その意味で彼は、個性豊かなヒーロー達を取りまとめる精神的支柱であり、彼なくして本作の成功はありえなかったと断ずる。個人的にも非常に好きなキャラクターなので(いや、性的な意味じゃなく)、もし続編が制作されるなら、本作以上の活躍を期待したいところ。もちろん、性的に好きなブルーローズさんも(変態)。何ならドラゴンキッドさん楓ちゃんでも(最低)。場合によってはアニエスさんでも(超最低)。

 閑話休題

 新キャラのゴールデンライアンは、ネタバレ回避のため詳しくは言及できないが、とりあえず思ってたよりいいヤツだったとだけ言っておく。見た目からしていかにも感じだが、いい意味で裏切られる事ウケアイ。

 欲を言えば、ヒーロー達を圧倒するほどの力を持つヴィラン(悪役)達に、もう少し説得力と存在感があってもよかった気がする。シュテルンビルドの伝説を模した犯行を繰り広げ、街全体を大混乱に陥れながら、何となくキャラクターそのものの影が薄いというか、インパクトに欠けるように思えてしまった。上記したとおり、ヒーロー側のドラマに重点を置いた結果なのかもしれないが、せっかく水樹奈々小山力也さんがゲスト出演されているのだから、敵なりの見せ場もほしかったところ。

 とはいえ、「ヒーローとは何か」という原点に立ち返り、心身ともにすっきりした状態で再スタートを切るという意味では、この上ない出来。タイトルからして、若干ダークナイトライジング」ムダに意識しているのが妙にひっかかるものの、グリグリ動くアクションシーンも非常に気持ちよく、シリーズのファンはもちろん、名前は知ってるけど観た事はない人でも十分に楽しめる事間違いなし。

 今から次回作が待ち遠しい。できれば最低年一公開でお願いします(エー)。


 ☆☆☆★★+++

 冒頭、主役二人のスーツが微妙に薄汚れてる点にも注目(笑)、星3つプラス3つ!!

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