熱っぽいです…

 もしかしたら、風邪を引いたかもしれません。咳や鼻水はないけども、どうも身体がだるく、体温も高めです。


 …そう、風邪と言えば今から十数年前、大阪の某市でコンビニのバイトをしていた頃、そこの店長がおそらく人間的にも知能的にも、小生がこれまで出会った中で一番低俗な男だったのだが(ソイツの細かい話しはまたいつか)、ソイツが仕事中、何の前フリもなく、突然こんな事を言い出した。

「最近店内放送で、『♪もういっちょ!もういっちょ!』って曲がよくかかってるやろ」

 ハテ、そんな歌あったかな?いくら記憶を辿ってみても、該当する曲は思い浮かばず。なので正直に、「何すか、ソレ。かかってませんよ、そんな曲」と返すと、当然のごとく、

「よぉかかってるわ。お前耳悪いんか!『♪もういっちょ!もういっちょ!』って歌あるやろが!!」

 いい年こいて、そんな事でいちいちキレられても面倒くさいだけなのだが、バカを相手にするのは非常に疲れるので、適当にあしらって仕事に戻る事にする。すると数分後、店内放送で当時大ヒットしていたウルフルズ「ガッツだぜ!!」が流れるや否や、やはり何の前フリもなく、また突然ソイツが叫びだした。

「これや!この曲や!言うてるやろ!!」

 周りの客がポカンとする中、ソイツは自信満々に歌い出すが、小生にはその部分の歌詞は「♪そんな弱気で『どうすんの(どうすんの)』」としか聞こえなかった。念のため、後日近くのCDショップで歌詞カードを見て確認したが、やはりそれで間違っていなかった。

 さらに不思議な事に、ソイツの耳には一番だけでなく、二番と三番の「♪生まれて死ぬまで『あっちゅーま!(あっちゅーま!)』」「♪行くか戻るか『どうしょうか(どうしょうか)』」まで、『』の部分が「もういっちょ!」に聞こえるらしい。前後の歌詞がしっかりと聞き取れるのに、なぜそこだけ間違えるのか。そもそも、仮にそうだとしたら、文章としておかしいだろう。
 そう指摘するも、「いーや、絶対に言うてる!」と、真実を頑なに拒否。ついにはコチラの人格を否定する暴言まで飛び出す始末で、まったく埒が明かない。結局、何故突然「ガッツだぜ!」の事を聞いたのか、一体何が言いたかったのかも謎のまま、数日間ふてくされて口も聞かなくなってしまったが(それはそれで、ものすごく仕事がしやすくなって助かった)、そんなアホのアホな出来事など、しばらくするとさっぱり忘れていた。

 で、それから約10年後。色々あって山口県に帰ってきたのだが、仕事の休みにちょっと広島に遊びに行こうと出掛けるも、途中からどうも頭痛が酷くなり、着いた頃には意識が朦朧とする状態に。今考えると非常に危険なのだが、乗ってきた車を放置するわけにもいかないので、ゼェゼェ言いながら運転し、何とか無事故で家に辿り着くも、玄関をくぐるなりバタンキュー。そのまま布団へ直行と相成った。

 熱を測ってみると、ナント39度以上。そりゃあ、身体も言う事効かなくなるわけだとおとなしく養生する事にしたのだが、何せただ寝るだけというのは退屈。仕方がないので、ベットの横に置いてあるテレビを適当に眺めていると、なつかしのヒット曲特集的な番組にウルフルズが出演し、件の「ガッツだぜ!!」を熱唱していた。
 あー懐かしいなーと思いつつ、ボンヤリ聴いていたその時、ほんの一瞬、本当にほんの一瞬だが、確かに聞こえた。いや、聞こえたような気がした。

「♪もういっちょ!もういっちょ!」

と。という事はだ、あのアホは、小生が39度の高熱でうなされている時と同程度の聴力、あるいが言語解読能力で日々生活している事になるわけだ。さすがは、半年かけて取った運転免許を、2ヶ月足らずで失効した男(ヤツの実姉からの情報)、そりゃあ30過ぎてあんなバカなわけだ。逆に言えば、ああいう人間の底辺を若いうちに見ておいたからこそ、今の自分があるとも言える。その意味では、いい反面教師だった。まったく感謝はしてないし、むしろ心の底から軽蔑しているが。


 といったところで、明日は映画レビュー書きます。回復してれば。