「獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦! さらば永遠の友よ」感想


 毎年恒例の、スーパー戦隊クロスオーバームービー。かつてジュウレンジャーに倒された大サタンと、アバレンジャーに倒された邪命神デズモゾーリャの怨念を吸収した宇宙大恐竜ボルドスが、恐竜とスーパー戦隊に復讐を果たすため地球に来襲。強大な敵に、キョウリュウジャーゴーバスターズは力を合わせて戦いを挑むが…。

 以前はVシネとして製作されていたスーパー戦隊VSシリーズ」が、諸般の事情により劇場公開作品へとシフトしてから既に6作目。この世にシリーズものの映画は数あれど、少なくとも我が国において毎回平均点以上のクオリティを保ち、且つ一定の来客数を確実に見込めるのは、実際のところ本シリーズだけかもしれない。

 現在放送中のキョウリュウジャーと、昨年のスーパー戦隊「ゴーバスターズ」に加え、過去の恐竜モチーフ戦隊二作品が参戦。しかも、ジュウレンジャーティラノレンジャーを演じられた望月祏多氏と、アバレンジャーアバレッドを演じた西興一朗ご本人が登場し、当時と同じ変身ポーズまで決めてくれるのだから、テンションが上がらないわけがない。
 さらに、他のメンバーも変身後とはいえ、確認が取れていないアバレイエロー以外、やはり全員がご本人が吹き替えという、豪華すぎる仕様(アバレブルー役の富田翔は顔出しもアリ)。ジュウレンジャーに関して言えば、マンモスレンジャー役の右門青寿氏以外、みなさん既に芸能界を引退されているにも関わらず、こうして公の場に出演してくださるのは本当に有難い事であり、特にトリケラレンジャー役の藤原秀樹氏に至っては、噂によると現在某SMAPメンバーのマネージャーをしていらっしゃる関係上、わざわざノンクレジットで参戦というから泣かせる。
 若干、ゲキのお腹回りがかなーり太ましくなってたり、当時溌剌としていた声に随分とバリトンが効いてて「エー?!」となったり、チバレイの声ってあんなキャピキャピだったか?と、色々思うところはあるにせよ、それらも全て30年以上も愛され続ける、人気シリーズだからこそ。ゴーカイジャーのような全員大集合ももちろんよいが、こういう何かしらの縛りでの登場というのも、非常に面白い。
 欲を言えば、月氏には春の仮面ライダー映画にも「J」として参加していただきたい。多分、無理だろうけど…。

 さておき。肝心の中身については、毎度の事ながら非常に安定した作り。悪の圧倒的な力の前に、絶体絶命の大ピンチ。しかし力を合わせて乗り越え、友情パワーで起死回生。晴れて地球のピンチは救われた…と、お馴染みの勧善懲悪ストーリーで、多少の強引さ、ご都合的な展開はあるにせよ、最後まで一瞬たりとも退屈しない、真っ当で一級のヒーロームービーに仕上がっている。
 上記した3大恐竜スーパー戦隊の競演もさる事ながら、やや影に隠れてしまった観のあるゴーバスターズも、実はしっかりいい仕事。キョウリュウジャーと共闘するシーンこそ少なめだったものの、キャラクター同士の相性もよく、物語を時に引き締め、時に盛り上げるポジションとして、十全に活躍してくれた。
 個人的には、リュウさんノッさんの親父ギャグ談義と、ヨーコちゃんにちょっかい出してあっさりフラれるイアンがツボに入った。エンドロール後に登場する新戦隊「トッキュウジャー」インパクトも抜群で、いろんな意味でビックリする事ウケアイ。

 わずか60分強の尺の中に、ハラハラドキドキと爽快感、笑いと感動、懐かしさと斬新さ、ついでに楽しいダンスまでがギュギュッと凝縮。もちろん、坂本浩一監督お得意のバイク&ワイヤースタントと、ローアングルからの太ももズームも満載(笑)。これで大人1200円は、お値打ち価格にもほどがある。
 長年低迷が叫ばれ、「客が入るのは一部のアニメだけ」などと揶揄される(いや、事実だが…)邦画業界。思い切って本作のように、短尺・低価格路線にシフトしてみるのも手かもしれない。少なくとも時間的にも料金的にも、娯楽映画はこのくらいがちょうどよい。

 ☆☆☆★★+++

 歴代でもトップクラスの完成度。マジ必見!!星3つプラス3つ!!

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