「プレーンズ」感想


 ピクサー・アニメーション・スタジオの人気アニメシリーズ「カーズ」のスピンオフを、ディズニートゥーン・スタジオズ製作で映画化。農薬散布機のダスティが、世界一周レースで優勝する夢を叶えるべく奮闘する姿を描く。


 よく言えば、王道的でシンプル。悪く言えば、どっかで観た事あるようなないような旧態依然とした作り。自身の生まれた環境、コンプレックスにめげず、時には人(?)の手も借りつつ、様々な困難を乗り越えて突き進むという、これまでディズニーをはじめ、国内外の作品で何百、何千回と観て来たド定番の内容ながら、鑑賞対象がチビッコ達である事を考慮するなら、この分かり安すぎるまでの分かりやすさは正しい。
 また、目にも鮮やかで可愛らしいキャラクター(飛行機)達の色彩やボディのシルエット、あるいは個性豊かな動きと表情はもちろん、同スタジオの本領発揮と言わんばかりの技術とテクニックがふんだんに組み込まれたレースシーンも、他のハリウッド映画や戦闘アニメにも引けをとらない迫力で、高ポイント。

 ただ、上記したとおり分かり安すぎるがために、大人目線的には少々ユルさが目立ち、例えばダスティスキッパーの関係、リップスリンガーの典型的悪役ポジション等、もう少し掘り下げてくれてもよかったんじゃないか、と思える箇所も少なくない。
 農薬散布機であるダスティならではの戦い方、もっと言うなら、生まれ持ったハンディを覆し、むしろ武器に変えるぐらいの展開を観たかっただけに、少々残念。

 それに付け加えるなら、夢の追いかける素晴らしさと同じぐらい、でも農薬散布だって立派な仕事だよね、といったフォローの一つも欲しかったところ。確かに、華やかなステージでみんなの注目を浴びるスターを夢見る事は決して悪ではないし、そのために日夜努力する事は何一つ間違いではない。が、あれではまるで、農業がレーサーに比べて価値もなく、つまらない仕事であるかのような描き方ではないか。
 表舞台に立つ事だけが生き方ではない、それを支える末端の人達にも喜びや達成感はあるんだと、それこそダスティを支えるチャグドッティ達の視点から、ほんの少しでも表現するシーンがあっても良かった気がする。


 まあとはいえ、そこまで深く考えずとも、単純にカラフルな飛行機が飛び回るシーンを観るだけでも充分に楽しめるので、アトラクションムービーとしては及第点の出来かと。どうやら、来年の夏には早くも続編が公開させるそうで(てか、そういうのは上映前に予告流しちゃダメだろ。せめてエンドロール後にしようよ)、興味のある人は観といていいかも。

 じゃ、今回はこんな感じで。


 ☆☆☆★★

 つーか高所恐怖症設定、そんなに重要だったか?トンネル以外で。星3つ!!


【送料無料】プレーンズ [ うさぎ出版 ]

【送料無料】プレーンズ [ うさぎ出版 ]
価格:420円(税込、送料込)