「ワールド・ウォーZ」感想


 マックス・ブルックス原作の終末ゾンビホラー小説を、「007 慰めの報酬マーク・フォースター監督ブラッド・ピット製作・主演で映画化。

 映画化権獲得を巡り、ブラピの製作会社プランBエンターテイメントと、ディカプリオの製作会社アッピアン・ウェイが入札競売で争った事でも話題となった本作。鑑賞後の率直な感想を述べるなら、良くも悪くも「金、かかってんなー」の一言に尽きる(笑)。

 いや、昨今のハリウッド、まして天下のブラピ製作・主演作の超大作に金がかかってないわけはないのだが、小生の知るゾンビ映画とは、低予算で創意工夫しつつ、いかにやりたい放題やるかが一つの定義にして美徳、その中から意外なケミストリーや数々の伝説的手法が生まれた背景を鑑みても、いい意味での泥臭さ、具体的にはグロテスクすぎて笑えてしまうシーン、あるいはムダにエロいお遊びカット等が、一切なかったのは正直残念。
 例えるなら、一流フランス料理のシェフが作ったすき家牛皿定食とでも言おうか。本来ジャンクフード的、B級カルト的なジャンルをあえて本気出して撮ってしまったような雰囲気で、おそらくコアなゾンビ映画ファンの中には、このスマート感、小ざっぱり感に難色を示す方もおられるだろうと察する。

 とはいえ、じゃあこれが丸っきりつまらないのかと言えば、さにあらず。危機的状況下での人々の言動はもとより、事態収拾の糸口を求めて訪れた各国の情勢や民族性をも取り入れ、さらに「誰がこの事態を引き起こしたのか」というスリラーの要素までプラスされたストーリー展開は、非常にスリリング。数千人規模のエキストラを使ったゾンビと対峙する戦闘シーンもなかなかの迫力で、一本のフィルムにパニックホラー、ディザスター、パンデミックを内包、これまでのゾンビ映画とはスケール、思想ともに一線を画す、むしろまったく別のジャンルへと昇華させていると評価したい。

 いつぞやのパシフィック・リムではないが、最新技術と資金フル活用して一回こういうの撮っとこう的な、映画人らしい心意気が感じられる作品。ビール片手に寝転がりながらのゾンビ映画定番フォームでの鑑賞はオススメできないが(あくまでDVDの話し。映画館でそれやってるヤツいたら顔面蹴る)、バイオハザード「2012」コンテイジョンを同時に観るぐらいのつもりで臨むのが、感覚的に一番近いかと。

 何のこっちゃよく分からん感想になってしまったけども、今回はこんな感じで。

 しかし、ネット情報によると既に続編が決定しているそうだが、50歳を期にプロデューサーに転向、俳優業引退が噂されているブラピは、次回作には出演しないのだろうか。確かに、小生の生涯ベスト5の一本ファイト・クラブの頃のような若々しさこそなくなったが、その分渋みの加わった、よいいい表情のできる俳優に進化していると本作でも確認できたのに、実にもったいない。
 かのアル・パチーノのように、年代ごとにまた違った魅力を観せてくれる名優もいる事だし、一ファンとしては50と言わず、60、70になった彼の名演を観たいと思うのだが…。


 ☆☆☆★★++

 次回作、原作の日本編は映像化されるのかしら?星3つプラスプラス!!

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