「ライジング・ドラゴン」感想


 監督、製作、脚本、主演、ジャッキー・チェン清王朝時代に持ち出された十二支のブロンズ像を巡って、伝説のトレジャーハンターが世界を股にかけた大冒険を繰り広げるアクション活劇。

 ジャッキー最後のアクション超大作として注目を集める本作ながら、良くも悪くもいつもどおりのジャッキームービー。逆に言えば、最後だからと変な小細工に頼る事なく、「世界最高のカンフースター・ジャッキー・チェンここにあり」と世に知らしめる意味では、非常に正しい作品と言える。

 内容としては、「ミッション・インポッシブル」インディ・ジョーンズパイレーツ・オブ・カリビアンが少々?脚本、ストーリー構成ともに、他の多くのアジア映画と同様ところどころにアラが見えてしまうが、むしろそれさえも「らしさ」に思えてくるから実に不思議。
 例えるなら、通い慣れた近所のラーメン屋の味とでも言おうか、叉焼の切り方が少々不揃いだろうが、たまにスープに煮干が丸々一尾入っていようが、なぜか許せてしまうあの感覚。おそらく、子供の頃から「ジャッキーとはこういうもんだ」と刷り込まれてきた結果だと察する…というより、それ以外に考えられないのだが、お馴染みのコミカルな動きと軽快な会話劇も相俟って、終始退屈することなく鑑賞できた。

 アクション面に関しても、かなりの部分でクォン・サンウら若手(でもないか)に任せているとはいえ、とても還暦前とは思えない超絶スタントの数々を披露。冒頭から全身ローラースーツを着ての、もはや罰ゲームとしか見えない坂道大滑走に始まり、お得意のオブジェクト攻撃にドラゴン・キッドばりの空中殺法、さらにはパラシュートなしでのスカイダイビングと、多分本人が気づいてないうちに何回か死んでるじゃないか?と勘ぐりたくなるアクションで、我々を楽しませてくれる。
 確かに80年代の絶頂期に比べると、技のキレやスピードに衰えを感じずにはいられないが、それでも、あれだけの運動量とスタミナ、何よりアイディアにはただただ脱帽する他ない。あの調子なら、60と言わず70代でも現役バリバリでやってくれそうだが、察するにスタントの危険性はもちろん、アクションに対する基準点に自分が納得できるうちに、という彼なりの美学があるのかもしれない。その集大成として、今できる最上のものを撮る、そんな気概が画面から感じ取れたのは、きっと小生だけではないと信じたい。


 さて、今作で「アクション超大作」は引退するものの、何でもアクション映画自体を引退するつもりはないとの事。つまりは、全編に渡って大暴れするような映画にはもう出ないが、ちょっとした殴り合いとかならOKという事なのだろう、多分。噂される「エクスペンダブルズ3」の出演も非常に楽しみだが、やはり注目は「ドラゴンキングダム」以来となるジェット・リーとの再戦。この場合、ジャッキーは敵役という形になってしまうが、あえて冷血非道の凶悪なジャッキーというのも見てみたい気がする。ついでに、毎年もあんまり変わってない(変えられない?)あのヘアースタイルも、いっそ銀色か真っ白に染めてのオールバック、あるいはスポーツモヒカンにしてみるとか。近年、性格俳優としても高く評価されている彼だけに、今後の活躍にも目が離せない。


 余談ながら、最後の最後に登場する意外なゲストにも注目。


 そういや、トニー・ジャー一本撮るって話しはどこ行ったの?


 ☆☆☆★★++

 まあ、ジャッキーですから(ドユコト?)、星3つ++!!



 これ多分、全部観てるわ(笑)。



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