「プラチナデータ」感想


 東野圭吾原作のSFミステリー小説を、るろうに剣心大友啓史監督、「GANTZ」二宮和也主演で映画化。

 
 未来のテクノロジーが犯罪捜査、または裁判を行うこの手のSFモノにありがちな設定とストーリー展開。原作がどこまで生かされているのかは存じ上げないが、天下の東野圭吾にしては、ちょっと物足りなさを覚える仕上がりだった。
 
 物語そのものは悪くないものの、如何せんこれというセールスポイントもなく、意外性や大どんでん返しに関しても同様。加えて、途中から国家レベルの陰謀だの大物政治家達のナンタラだの、これまたありがちなファクターが介入してくるため、そういや彼ナンデ逃げてんだっけ?と忘れてしまいがちに。
 さらに、事件の黒幕がキャスティングの時点でかなりバレバレなのもいただけないが、物語のキーである主人公の秘密を、予告編の段階でうっかりバラしてしまっているのは、あまりに痛すぎるマイナスポイント。前々から言っている事だが、日本の映画広報関係者は本当に商品を売る気があるのかと、首を傾げたくなる。もう少し、大事な部分はしっかりとガードしつつ、お客さんが作品に興味を示してくれるような広告作りを、心がけていただきたい。

 もう一つ苦言を呈するなら、日本全国のあらしっくのみなさんには申し訳ないが、主人公・神楽のキャラクターとニノ、そして本作の雰囲気とテーマソングを唄うのイメージが、さっぱり合っていない。
 念のため書いておくと、小生は何もがキライなわけではないし、毎週とまでは言わないまでも嵐にしやがれもよく観ている。俳優としてのニノの才能も、高く評価しているつもりである。が、本作のもう一人の主人公といえるトヨエツ演じる刑事(原作ではこちらが主人公らしい)と並ぶと、どうしても存在感で負けてしまっている。この場合、二人は対等もしくは状況によって優劣が入れ替わるぐらいでないと、正直絵として持たない。
 そこへ来て、エンドロールとともにダンサブルなナンバーを聴かされたのでは、人によっては白けてしまうのでは。まるで一昔前のアイドルムービー、とは言わないまでも、「ハゲタカ」を手がけた大友監督らしい骨太の人間ドラマを期待していただけに、少々残念。
(繰り返すが、別に小生はそのものが悪いと言っているのではない。仮に、小生の好きなガンズ・アンド・ローゼスサイキックラバーのゴキゲンなナンバーが使われていても、同じ感想を書いたと念を押しておく)

 
 この調子で、夏公開予定の真夏の方程式は大丈夫なのだろうか。まあ、これまでガリレオシリーズにハズレはないし、期待半分…いや、期待6不安4ぐらいで待っていよう、ウン。


 ☆☆☆★★

 ところで小生の勘が悪いのか、結局なんで神楽が犯人と特定されたのかよく分からんかった。真犯人が細工した、みたいな事言ってたか?星3つ!!




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