「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン」感想
2008年公開の「トワイライト〜初恋〜」から約4年。全5作に及ぶ、人間の少女とヴァンパイアの恋を描いたステファニー・メイヤー原作のラブファンタジー最終章。
例によって、「Part1」「Part2」まとめての感想。とはいえ、前作はただただバカップルが乳繰り合ってるだけの、評価がどうとか以前の内容だったので、あっさりと割愛させていただく。
それを踏まえた上で、本作、というより、本シリーズを通して鑑賞した、率直な感想を述べたい。
「なんッッッッじゃそら!!」
散々引っ張った挙句、散々アレやコレややってきた挙句、最後のオチがアレとは、もはや壮大なシチュエーションコントにしか思えない出来。聞けば、原作とは異なるラストだそうだが、ならばなおの事、推敲の余地はなかったのか、それ以前に変更しなければならないような原作のラストとはいかなるものだったのか、別の意味で興味が沸いてしまった。
極力ネタバレしないように説明すると、「十三人の刺客」を観に行ったのに、気がついたら「逆転裁判」になっていた感じ、とでも言おうか。確かに、メインターゲットを小生のような映画ヲタクのオッサンではなく、夢に夢見る、恋に恋するお嬢様方だとするなら、あまり血生臭い結末は好ましくなく、ドツキ合いで解決するよか幾分マシのようにも思える。が、それにしたって、もう少しやりようはあったのでは?
アレでは、夢オチとさほど変わらない気がするのは、小生だけか?
それから、これはシリーズ全体に言える事だが、とにもかくにも展開がゆっくりもっさりしすぎて、正直観ていてイライラしてしまう。甘くとろけるような愛の囁きだの、小じゃれたヴァンパイアジョークだの、そんなんええから早よやれや!と、何度叫びそうになった事か。そういう部分が観たくて劇場に足を運ぶ淑女もいらっしゃるのだろうと理解した上でも、それでムリヤリに希釈した観は否めない。
素人意見ながら、全章通して観た限り、うまく構成すれば1クールアニメでもムリなく充分収まる内容だと察する。
ついでに言うなら、そのムリヤリな引き伸ばし作戦のため、ただでさえ薄い内容が時間とともに記憶から抹消され、「アレ、コイツ誰やったっけ?」「ん?こんな設定あったか?」と混乱をきたす要因に。しかも、最終章まで来て突然のごとくダース単位で員数が増えるので、誰が誰で何が何やら。ぶっちゃけ、見慣れている分「スーパーヒーロー大戦」の方がよほど認識しやすい。
肝心のアクションシーンも想像以上に短く、また迫力も説得力も圧倒的に不足。そこを期待して観に行く人もいないだろうが、もしいれば、迷わず「ウィザード&フォーゼMOVIE大戦アルティメイタム」をオススメする。アクションもストーリーもお色気も、アチラの方が断然上。
しかし、これまで全シリーズ映画館で鑑賞してきたが、ここまで何の印象も残らない作品も珍しい。強いて挙げるなら、エドワード演じるロバート・パティンソンがやたら毛深かった事と、ジェーン演じるダコタ・ファニングの白塗りメイクがキモかった事と、アリス演じるアシュリー・グリーンが結構タイプだった事ぐらいで、恋愛モノとしても、ファンタジーとしても、もちろんアクションとしても、全てにおいて中途半端。
金のムダ、時間のムダ、とは言わないし、これもまあ一つの経験かと思う事にするが、本当に世のご婦人方は、こういう物語に胸ときめかせているのだろうか。うーん、感性は人それぞれとは言うが、高卒低所得のオッサンには良く分からん。
とりあえず、今後この手の作品、特に何章にも及ぶ壮大なストーリーなんてのに当たった例がないので、なるべく手を出さないようにしよう。正直、もうノーサンキューです。
☆☆★★★+
まあ、ここまでよぉやったよという意味も含めて、オマケの星2つプラス!!