「009 RE:CYBORG 」感想

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 「漫画の神様さえも嫉妬させた天才」こと故・石ノ森章太郎氏のライフワークにして、今なお根強いファンを持つSFアクションコミックの金字塔を、攻殻機動隊S.A.C.」「東のエデン神山健治監督・脚本で現代風アレンジ&3Dアニメーション化。
 2013年、世界中で起こる同時多発テロと、その陰で暗躍する「彼の声」に、9人のサイボーグ戦士達が戦いを挑む。

 現実の世界情勢などをふんだんに盛り込みつつ、その中でいかに自らの信じる正義を成すかを自問するゼロゼロナンバーサイボーグ達の内面にスポットを当てたシナリオは、いかにも神山監督らしい作りだが、如何せんストーリーが難解…というより説明不十分すぎて、意味不明に思える点がしばしば。
 それと同時に、一体アレは何だったのだと首を傾げてしまいたくなる要素も多く、後になってよくよく考えれば「ああ、そういう事か」と気づくものもなくはないにせよ、途中から彼等は何と戦っているのか、他の連中は何が目的なのか、ひょっとしてわざとかと勘ぐりたくなるほど、情報が錯綜する場面が非常に多く見受けられた。

 例えば、記憶を失って高校生活を繰り返すジョーの彼女。当初、あれは要所要所に出てくる金髪の少女と同一の存在で、サイボーグ戦士達を「彼の声」の下に導く、あるいは「彼の声」そのものなのかと思っていたが、途中から「こりゃ違うな」と。
 それならそれでよいのだが、結局アレは何のためにいたのか、物語上の必要性がまったく見えず、終わってみれば「ああ、そんな子いましったけね」といった具合に。
 声から察するに、おそらくは「あの人」の分身かアバター的なモノなのだとして、画面に登場する以上、それなりの働きを見せてほしかったところ。

 製作者側の「こういう事がやりたかった、描きたかった」というモノは一応理解できるつもりだし、それなりに汲み取れるとは思う。がしかし、秘密基地が襲撃された件、アメリカ軍の暴走、007ジェームス・ボンドじゃない方の)と008が姿を消した理由、そして謎だらけのラストシーン、その他諸々を含め、それらがうまくかみ合わず、結果として煮詰めの足りなさとフランソワーズオッパイだけが印象に残ってしまった観がある。
 何が原因かは存じ上げないが、才も実力もある監督だけに、非常に残念。せめて見せ場の一つであるアクションシーンが、もう少しあれば良かったものを…。

 まあ、先日コンビニで購入した「天使編/神々との戦い編」も結構アレな内容であったし(エー)、もしかすると人智や思議をも超えた、もっと高い次元へと繋がるための物語を目指したのかも、と過大評価してみる。

 とはいえ、一本のエンターテイメント作品としては、正直胸を張ってオススメするのは難しく、特に、旧来ファンの方は嫌悪すら抱く可能性がなきにしも。
 ただ、個人的には決して嫌いではないので、より多くの方のご意見を伺いたい。随分回りくどい言い回しになったが、今回はこんな感じで。


 ☆☆☆★★−

 で結局、ジョーとジェットはどうやって助かったんだ?星3つマイナス!



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