「ハンガー・ゲーム」感想
文明崩壊後の北アメリカ、高度に発達した統制国家により、周辺の12の地区から選ばれた10代の男女が、テレビ中継される中で最後の一人になるまで強制的に殺し合いをさせられる、サバイバルアクション。
普通。極めて普通の内容。それなりに光る部分は見受けられるものの、我が漫画大国日本においては、それほどの目新しさや斬新さを感じさせるような要素は特になし。
そして長い。この内容で約2時間半はあまりに長すぎる。どの年代をターゲットにしているのかは存じ上げないが、もう少し手短にまとめた方が良かったんじゃないかと、思わず苦言を呈したくなる出来だった。
とにもかくにも、主人公が代表に選ばれてから、実際にハンガー・ゲームが始まるまで、とてつもなく冗長。にも関わらず、肝心のゲームはかなりあっさり目という、ペース配分のおかしさ。
せめて都市への移動の行程、あるいは途中のトークショーをうまく短縮し、その分訓練のシーンに尺を割いていれば、参加者の掘り下げも可能になり、より深いドラマを生み出せたものを。
おかげで、ゲームのために鍛えられたというプロ連中の存在感もすっかりボヤけ気味。訓練中に親しくなった主人公と対峙し、あと一歩まで追い詰めるも「ダメ、やっぱり私にあなたは殺せない…」みたいな事をのたまう子の一人や二人いても良かったのに。まったく惜しい。
また、奇抜で悪趣味なファッションに身を包み、殺し合いをバラエティ番組を観るかのように楽しむ裕福層と、中世時代のような非文明的生活を強いられる地区住民の対比もうまくなく、これがきっかけでルサンチマンの爆発が起きるんだろうなという展開が容易に想像できるにとして、その過程と結果の描写にもものすごく中途半端な印象を受けた。
スポンサー制度の使い方も、観ようによってはただのご都合主義。そもそも、ネタバレもヘッタクレもなく主人公が生き残るのは大前提として、最後のあの展開は、ワンワンとケツ顎くんの件も含め、正直一番面白くない結末に思えてしまった。
冒頭に書いた事と少々矛盾するが、この内容なら2時間そこいらのフィルムに収めるより、全12話くらいの30分アニメに仕立てた方がよいモノになった気がする。この手のストーリーは小林靖子ニャンが得意中の得意だし、マッドハウス辺りが製作して逆輸入すればヒットするかも。
関係者のみなさま、是非ともご検討を。
さておき。
既に第2弾の日本公開が決定しているそうだが、もう少し工夫しないと、ジャパニメーションで目の肥えた日本人ユーザーには突っぱねられるのではないかと危惧。豪華吹き替え声優陣の起用より、しっかりと中身で勝負していただきたいところ。
☆☆☆★★−−
今後に期待!の意味も込めて、ちょっと厳しくいきます。星3つマイナスマイナス!!
そういえば主演の彼女、「X-MENファースト・ジェネレーション」でミスティークを演じた子らしい。じゃあ、別に画面ペンティングとかしなくても、普通に背景と同化できたじゃん、なんて絶対言わないからな。絶対だからなッッ!!
つーか、同じ12地区から来た彼は、いつあんなメイクをしたんだ?顔だけで最低2、3時間はかかるだろ、アレ。
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